たちばなふみ

戦争か平和かで騒ぐときが突然やってくるとは思いもしなかった。

「戦争か平和かで騒ぐときが突然やってくるとは思いもしなかった。」

2週に一度発行の「新しい松江」。
 
今週も出来上がりほっとしています。
 
西尾幸子さんにロシアのウクライナ侵攻や選挙に向けての思いを寄せて戴きました。ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
 
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今、テレビでウクライナの惨状をみるたびに心が痛みます。
 
でもそれはよそごとではありません。かつて日本は満州事変、日中戦争、アジア太平洋戦争と、第二次世界大戦の中、15年も侵略をすすめ、アジアの人々にどれだけ被害を与え、悲しい思いをさせてきたか忘れてはならないと思うのです。
 
 最後はアメリカの原爆によって私たちも被害者となり、戦争が終わったけれど、二千万人もの命を奪う、つらい長い15年だったのです。
 
 あの戦争を、あの悲劇を、再びくり返してはならないと決意して作られた日本国憲法。九条で「戦争しない、戦力をもたない、交戦権も認めない」と決められたのです。
 
 女学校の一年生で、外の作業に動員されていた同級生は原爆に焼かれ全員死亡。生き残った私は「命を失った人々へのつぐないは憲法を守ること」と心に決め、慰霊碑の前で涙がとまりませんでした。あれから戦争で人を殺すことも殺されることもなく77年が過ぎました。
 
 ところが今、日本政府は危機に乗じて憲法を変え戦争する国にして軍事一辺倒ですすめようとしています。日本が攻撃されなくてもアメリカに協力して戦争にまきこまれるかも知れない。今、日本でしなければならないことは、憲法守れ、戦争はダメ、核兵器使わせるなと、国民の中に大きな与論をつくり政治を変えること。これが90歳の私の思いです。

原水爆禁止県協議会代表理事
 
西尾 幸子

※西尾幸子さんは原爆で同級生223名を亡くしました。その無念を戦後50周年にタペストリーに綴り、その後小学校などで平和の語り部活動を続けておられます。近年は若い世代が西尾さんの体験を「朗読劇」に仕立て一緒に語り継ごうと活動しています。

「戦争はだめ 憲法まもれの声を選挙で広げて」
 
(「新しい松江」6/26号掲載)